ページ内目次
コンカレントプログラムとは
リクエスト画面
スケジューリング
データ生成処理
リクエストセット
🔷 Concurrent Program(コンカレントプログラム)とは?
✅ 定義
Oracle EBSの「Concurrent Program」とは、バックグラウンドで実行される処理のことです。
通常の画面操作とは別に、重い処理や大量のデータを扱う処理をサーバー上で行います。
✅ 代表的な用途
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会計仕訳の作成(Create Accounting)
-
請求書の発行
-
各種レポート出力(例:顧客残高、債権年齢表)
📌 多くの処理はリアルタイムではなく、必要なときにまとめて「バッチ実行」される点がOracleの特徴。
🔷 実行方法:Concurrent Programを実行するには?
方法は2つ:
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メニュー経由(例:[Receivables] → [Reports])
-
メニューバーから直接 [View] → [Requests]
🔷 レポート実行の例:Aging 7 Buckets(債権年齢表)レポート
🔸 手順
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レポート画面から「Accounting」を選択
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「Single Request(単体リクエスト)」を選択
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Concurrent Programの選択画面で「Aging - 7 Buckets Report」を選ぶ
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パラメータを入力(黄色は必須、白は任意)
例)パラメータ入力項目:
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Ledger(帳簿):US Ledger など
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As of Date(基準日):例)2025/08/01
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Format:Summary by Invoice(請求書単位のサマリー)
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Aging Buckets:Collections Aging Buckets
📌 黄色の項目は必須。入力しないと実行できません。
🔷 その他の便利機能(応用編)
📧 通知機能(Notify)
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実行後、特定のユーザーに通知を送ることができます。
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メール設定(SMTP)が必要。
🖨️ プリンタ連携
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サーバーに設定されたプリンタへ自動印刷も可能。
🌐 多言語レポート
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複数言語で同時に出力することも可能。
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例:英語とポルトガル語で同時出力
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🔢 数字表記の切り替え
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「1,000.00」や「1.000,00」のように、小数点とカンマの設定を変更可能。
🔷 レポート実行後の確認方法
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[View] → [Requests] から実行済みリストにアクセス
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該当レポートをクリックして選択
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確認したい内容に応じて以下を選択:
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✅ View Output:レポートの中身(出力内容)
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❌ View Log:エラー内容や処理内容のログ
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📌 レポートが Warning(警告)や Error(エラー)で終わった場合は必ず「View Log」を確認!
🔶 よくあるトラブル
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WarningやErrorになる原因:
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メール設定(SMTP)が未設定
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プリンタが未定義
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必須パラメータ未入力
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✅ まとめ
内容 | 理解しておくべきポイント |
---|---|
Concurrent Programの目的 | 重い処理やレポート出力をバックグラウンドで行う |
実行方法 | メニュー or メニューバーから「Request」で実行 |
パラメータ画面の使い方 | 黄色:必須、白:任意。虫眼鏡で選択肢も見られる |
レポート確認方法 | 「View Output」で中身、「View Log」でエラー確認 |
通知・印刷・言語切り替え | 実行時のオプションで柔軟に設定可能 |
🧠 Oracle EBS「リクエスト画面」
このレッスンでは、「リクエスト画面(View Requests)」の使い方を学びます。
Concurrent Program(並列プログラム)の実行状況の確認、コピー、キャンセルなどができる画面です。
🔹 リクエスト画面の開き方
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画面上部メニューバーから
[View](表示) → [Requests](リクエスト) を選ぶ -
「リクエスト画面」が表示される
🔹 リクエスト画面の主なボタン・機能
① 🔁 Refresh(更新)ボタン
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リクエストの最新状態を反映させるためのボタン
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Oracle EBSは「静的な画面」なので、自動で更新されません!
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実際にはレポートが終わっていても、画面上は「Pending(保留)」のままに見えることがあります
→ そんな時は「Refresh」を押すと、ステータスが「Completed(完了)」などに切り替わります。
② 🔍 Find Requests(リクエスト検索)
過去に実行したリクエストを検索する機能。便利!
主な検索方法:
-
「今日実行したリクエスト」
-
「指定したリクエストID」
-
「特定のステータス(完了済み、処理中など)」
⚠️ 他のユーザーのリクエストを検索するには、管理者権限が必要です。
③ 🆕 Submit New Request(新しいリクエストの実行)
-
通常は「レポートメニュー」から実行していましたが、
このリクエスト画面からも直接実行可能! -
実際の操作は以前と全く同じです。
🔸 メリット:ここからなら全レポートが一覧で表示される(フィルタなし)
④ 🧾 Submit New Request Set(リクエストセットの実行)
-
これは複数のレポートをまとめて実行する機能
⑤ 📋 Copy Single Request(リクエストのコピー)
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過去のリクエストをそっくりそのまま再実行できる機能
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パラメータも自動でコピーされますが、修正も可能
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例)「日付だけ変えて再実行したい」ときに便利!
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⑥ 🛑 Hold / Remove Hold(保留と解除)
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リクエストを一時停止(保留)させることができます。
-
解除しないと、永遠に「保留中」で動きません!
-
サポートに「遅い」と言う前に、「保留になってないか」確認してください!
⑦ ❌ Cancel Request(リクエストのキャンセル)
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間違えて実行してしまったレポートなどは、ここからキャンセル可能
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キャンセルしても、ステータスは「Completed(完了)」のままですが、**状態は「Canceled」**と表示されます。
⑧ 📄 View Details(リクエストの詳細)
-
実行したリクエストのパラメータ一覧や状態などが見られます。
-
「過去にどんな設定で実行したのか分からない!」というときに便利。
⑨ 🔁 Rerun Request(再実行)
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過去のリクエストを、ワンクリックでそのまま再実行できます。
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「Copy」と似てますが、よりシンプル。
⑩ 🖨️ Reprint / Republish(再印刷・再出力)
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印刷エラーなどで、もう一度出力が必要な場合に使います。
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プリンタ設定がされていないと効果なし。
⑪ 🧪 Diagnostics(診断)
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このレポートが「いつ開始され、いつ終わったか」などの処理時間の分析
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パフォーマンス比較(インスタンスごと)にも使えます。
⑫ 📤 View Output(レポートの出力結果を確認)
-
実行したレポートのPDFなどの「出力内容」を表示する機能
-
Agingレポートなどの中身を見るにはここをクリック!
⑬ ⚠️ View Log(ログの確認)
-
レポートがエラーで終わった場合は、必ずこのログを確認してください。
-
処理中のSQLやエラー情報など、詳細な実行ログが表示されます。
🔁 まとめ
機能名 | 説明(初心者向け) |
---|---|
Refresh | 手動で最新の状態に更新(自動では更新されません) |
Find Requests | 過去のリクエストを検索できる便利機能 |
Submit New Request | 直接ここからレポートを実行(別メニューに行く必要なし) |
Copy Single Request | 前回と同じレポートをすぐ再実行(パラメータ変更も可能) |
Hold / Remove Hold | 一時停止と解除(うっかり保留に注意!) |
Cancel Request | 間違って実行したリクエストはキャンセル可能 |
View Output | レポートの出力内容をPDFなどで確認 |
View Log | エラーや処理内容のログ確認 |
Diagnostics | 開始時間・終了時間などの性能確認 |
Reprint | プリンタ出力の再送信(プリンタ設定がある場合) |
✅ 補足アドバイス
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困ったらまず「View Log」を確認!
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よくあるトラブルの原因:
-
パラメータ間違い
-
リクエストが「Hold(保留)」のまま
-
印刷設定(プリンタ)やメール設定ミス
-
-
Oracleの画面は基本「手動操作」前提なので、「更新されない=バグ」ではありません。
🎯 スケジューリング
「Concurrent Program(帳票やバッチ処理など)」を 毎日など定期的に自動実行する方法を学びます。
🧭 実行方法のおさらい(復習)
Concurrent Programは次の2通りの方法で実行できます:
-
メニューから
例:
Receivables > Reports > Accounting > Aging
など
(画面をたどってメニュー経由で実行) -
View > Requests から実行 ← これが講師のおすすめ!
「Submit a New Request」から直接実行できて、早いし便利です。
🕑 スケジューリングとは?
特定のConcurrent Program(例:Agingレポート)を 毎日自動で実行したい場合に使います。
例えば:
-
毎晩0時にレポートを自動実行したい
-
自分で実行ボタンを押す手間を省きたい
-
朝出社したら結果がもう出てる状態にしたい
🛠 スケジュール設定手順(例:Agingを毎日実行)
① 通常通り Submit Request を開く
View > Requests > Submit a New Request
② レポート(例:Aging)を選択
パラメータを入力(例:日付など)
③ 「Schedule(スケジュール)」ボタンをクリック
④ オプション設定
項目 | 説明 |
---|---|
Run Option | 「Periodically(定期的に)」を選択 |
Frequency | 例:「Every 1 Day(毎日)」など。時間単位も可能。 |
From Start / From Completion | どのタイミングから再実行を始めるか? ・From Start:前回の開始時間から間隔をカウント。 ・From Completion:前回の終了時間から間隔をカウント。 ※通常は Start 推奨(同じ時刻に実行されやすい) |
Increment Date Parameters | ✔ チェックを入れる! → Agingなど日付が関係するレポートは、毎回の日付を1日ずつ自動更新する必要があります |
Start/End Date | 開始日と終了日を指定(例:今日から月末まで)。 ※終了日なしでずっと実行も可能。 |
Save this Schedule | 保存しておくことで、今後コピーして使える |
💡 ポイント解説
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Agingレポートなど日次で使う帳票は、このスケジュール設定がとても便利。
-
「Increment Date Parameters」に✔を入れないと、毎回同じ日付の結果が出てしまうので注意!
-
スケジュール設定後の初回実行が、指定日より前になっていた場合、すぐに1回目が走り、その後スケジュール通りに進行します。
-
実行済レポートは「Scheduled(スケジュール済)」と表示され、次の予定実行時刻まで保留中になります。
-
スケジュールされたリクエストも通常のようにキャンセル可能。
🔄 実行結果の確認方法
-
View > Requests
で確認 -
ステータス「Scheduled(スケジュール済)」のものは、まだ先の時間に動く予定
-
View Details
をクリックすると:-
実際に送信された時間
-
実行予定の時間
が表示されます。
-
✅ まとめ:Concurrent Programのスケジューリング
やること | 内容 |
---|---|
Submit Request | レポートを通常通り実行する画面を開く |
Schedule を設定 | Periodic(定期実行)、頻度、日付などを入力 |
Increment Date ✔ | 日付を毎回更新する必要があるレポートは絶対チェック! |
実行 or 保存 | スケジュールを保存し、Submitで登録完了! |
📌 補足メモ:
-
実行間隔が短く(例:5分おきなど)、処理時間が長いレポートは「From Completion」を選ばないと処理が被る可能性あり。
-
よく使うパターンは「保存」して、次からコピーして使うと効率的。
-
スケジュール済みレポートが動かない場合は「日付設定」や「インクリメント設定」を再確認!
📘 データ生成コンカレント・プログラム
これまでのレッスンでは、レポートを出力するだけの簡単なコンカレント・プログラム(例:Aging Report)を扱ってきました。しかし、今回は Oracle EBS の中で実際にデータを作成・処理するタイプのプログラム を紹介します。
✅ 1. コンカレント・プログラムとは?
Oracle EBS では「コンカレント・プログラム」と呼ばれる仕組みで、各種レポートや処理ジョブ(バッチ処理)を実行します。
-
📄 レポート型:情報を見るだけ(例:請求年齢分析レポート)。
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🛠 処理型:実際にデータを作成・更新する(今回のテーマ)。
✅ 2. 処理型コンカレント・プログラムの例
🧾 例①:Create Accounting(仕訳を作成)
これは、サブレジャー(売掛金や買掛金など)から総勘定元帳(GL)に仕訳データを作成する処理 です。
-
例)売上請求(AR)が発生 → GLに仕訳を転送する。
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実行方法:
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View Requests → Submit a New Request
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プログラム名:
Create Accounting
-
パラメータを設定:
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Ledger: US Ledger
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End Date: 2024/04/15
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Mode: Final(最終確定)
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Transfer to GL: Yes
-
Post to GL: No(レビューのため、投稿はしない)
-
-
実行後、「Output(出力)」からWord形式の仕訳明細レポートを確認できる。
-
💡補足:サブレジャーとは?
売掛金(AR)・買掛金(AP)・在庫(Inventory)など、GLに連携されるモジュールのこと。
🧾 例②:AutoInvoice Import Program(自動請求書作成)
これは、注文出荷後に請求書データを自動生成するプログラム です。
-
例)販売注文→出荷→インターフェーステーブルにデータ格納→このプログラムで請求書を生成。
-
実行方法:
-
プログラム名:
AutoInvoice Import Program
-
パラメータ設定:
-
Transaction Source: Order Entry(Oracle標準)
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Default Date: 実行日
-
他は空欄でOK(必要に応じて特定の注文番号などを指定可能)
-
-
このプログラムはインターフェース上にあるデータを元に請求書を自動生成します。ただし、今回の実行では該当するデータが無かったため、請求書は作成されませんでした。
✅ 3. コンカレント・プログラムの実行結果を確認
-
Create Accounting を実行後、出力(Output)で詳細な仕訳内容を確認可能。
-
出力は Word形式のレポート で、仕訳の金額・勘定科目などが記載。
-
実際にGL(総勘定元帳)に仕訳データが転送されていることも確認済み。
-
GLメニューからバッチを開いて仕訳を確認。
-
✅ 4. レポートとデータ作成の違いまとめ
種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
📄 レポート型 | データを表示するだけ。EBS内の変更なし。 | Aging Report(請求年齢レポート) |
🛠 データ生成型 | 実際にデータを作成・処理する。 | Create Accounting、AutoInvoice |
🎓 学んでおくべきポイント
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コンカレント・プログラムには「見るだけ」と「処理するもの」がある。
-
「Create Accounting」や「AutoInvoice」は会計や売上において非常に重要。
-
実行時には必須項目(黄色表示)を正しく入力すること。
-
出力内容を確認し、問題があれば詳細をレビュー可能。
📘 リクエストセット
💡 そもそも「リクエストセット」とは?
リクエストセットは、複数の「コンカレント・プログラム(Concurrent Program)」を順番にまとめて実行できる機能です。
📌 コンカレント・プログラムとは?
Oracle EBSで使われるバッチ処理のようなものです。
レポートを出したり、データを作ったりします。
✅ なんでリクエストセットが必要?
実務では、ある処理をした後に次の処理が自動的に続くようにしたいことがあります。
例:受注から請求書作成までの一連の流れ
-
注文(Order)を出す
-
出荷(Ship)する
-
バックグラウンドでワークフロープロセスを実行(Workflow Background Process)
-
請求書データをインポート(AutoInvoice Import Program)
このような一連の流れを一つずつ手動で実行するのは面倒なので、
これらをセットにして一括で自動実行できるのが「リクエストセット」です。
🛠 リクエストセットの作り方(手順)
1. System Administratorの責任者メニューに移動
-
「System Administrator」責任者メニューへ
-
メニュー:
Concurrent > Set
を開く
2. リクエストセットを定義する
-
コード:
XXSR12_AUTO_INVOICE_SET
などの任意のコード -
名前:
R12 Training Auto Invoice Request Set
-
アプリケーション:
Receivables
-
説明:
Workflow Background Process + AutoInvoice Import
3. ステージ(Stage)を定義
-
各ステージに順番(番号)と名前をつける
-
例:
-
ステージ01:Workflow Background Process
-
ステージ02:AutoInvoice Import
-
-
-
各ステージに**実行するプログラム(Request)**を紐づける
⚠️ ワンステージに複数のプログラムを入れると、並列実行されるので注意!
4. ステージのリンク設定(超重要‼)
-
ステージ01が「成功(Success)」したら、ステージ02を実行する
-
ステージ01が「警告(Warning)」でも進める場合はそれも設定
-
「エラー(Error)」では進まないようにも設定可能
✅ ここを忘れると、プログラムが同時に実行されたり、次に進まなかったりする
📂 作ったリクエストセットを実行するには?
1. Receivablesの責任者メニューに戻る
でもすぐには見つからない!
なぜ? → Request Groupに追加してないから!
🧩 Request Groupにリクエストセットを追加する
-
再び「System Administrator」に戻る
-
メニュー:
Security > Responsibility > Define
で責任者(Receivables)を検索 -
その責任者に紐づいている「Request Group(例:Receivables All)」をメモ
-
メニュー:
Security > Responsibility > Request
を開く -
さっきのリクエストグループに、リクエストセットを追加する
-
Type:
Request Set
-
Name:さっき作ったリクエストセット名を指定
-
▶ 実際に実行する!
-
Receivables責任者に戻る
-
View > Requests > Submit a New Request
-
Request Set
を選ぶ -
パラメータ入力(例:注文ソース、日付など)
-
実行!
⏱ 実行中の流れを確認
-
最初に「Workflow Background Process」が実行される
-
それが終わると、「AutoInvoice Import Program」が実行される
-
正常終了すれば完了!
🧠 まとめ
学んだこと | 説明 |
---|---|
コンカレントプログラムとは? | Oracleのバッチ処理の仕組み |
レポートとデータ生成の違い | レポート=見るだけ、生成=GLにデータが行く |
リクエストセットとは? | 複数の処理を順に実行する仕組み |
ステージ定義とリンクが超重要 | 実行順をしっかり設定しないとバグる |
Request Groupの役割 | 責任者で使えるリクエストを制御している |
実行方法 | パラメータを入れて実行、順番通り動くか確認 |
✅ 補足
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実際の業務ではリクエストセットを使って、
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売上計上
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会計連携
-
GLへの転送
を一括でスケジューリングして自動化するケースが多いです。
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Oracleの標準的なレベルでは習わない、
実務レベルの知識が得られています。