IBM Cognos エクスプローラー



 ページ内目次
 ダッシュボードとエクスプローラーの違い
 Explorationの概要
 Explorationの進め方
 可視化の作成
 インサイトの分析
 スマートアシスタント


ダッシュボードとエクスプローラーの違い

Cognos Analyticsでは、ダッシュボードエクスプローラーという2つのツールを使って、データの可視化や分析を行います。両者には共通点もありますが、使用方法には違いがあります。

ダッシュボード

  • ダッシュボードは、イベントや活動を素早く監視するためのツールです。

  • 複数のページにわたって、重要なインサイトや分析を提供します。

  • ダッシュボードでは、表示されているデータをインタラクティブなツールを使って**探る(Explorer)**こともできます。

  • 例えるなら、車のダッシュボードのようなものです。車を運転している時に、ガソリンの残量や速度、エンジンの状態など、すぐに確認したい重要な指標が表示されます。このように、ダッシュボードは、会社の経営陣や管理職が、重要な指標をいつでも迅速に把握するために使います。

エクスプローラー

  • エクスプローラーは、データを自由に発見したり、分析するための柔軟なワークスペースです。

  • ダッシュボードからエクスプローラーを開くことはできますが、エクスプローラーからダッシュボードを開くことはできません。

  • 既存の可視化(グラフやチャートなど)をエクスプローラーでさらに詳しく掘り下げて探索し、隠れた関係性やパターンを見つけ出すことができます。

  • エクスプローラーは、データがどうなっているのかよくわからない場合に、自由に探索しながらインサイトを得るために非常に便利です。

ダッシュボード vs エクスプローラー

  • ダッシュボード

    • 会社の運営に必要な主要な指標を素早く把握するために使います。

    • 例えば、会社の売上状況や重要なKPIをモニタリングするのに適しています。

    • 例えるなら、車のダッシュボードのように、現在の状態を素早く確認するためのツールです。

  • エクスプローラー

    • もっと深掘りして分析したい時に使います。

    • 例えば、売上が予想より低い理由を突き止めたい場合に、データを探しながら原因を見つけ出します。

    • 例えるなら、車に警告灯がついた時に、車を整備士に持っていって原因を調べてもらうイメージです。


まとめ

  • ダッシュボード:迅速に重要な指標を把握するためのツール。会社の状況を監視するのに適しています。

  • エクスプローラー:データの中から隠れた関係やパターンを掘り下げて分析するためのツール。問題や課題が発生した際に使用します。


データ探索(Exploration)の概要

ここまでで、2つのデータモジュールを作成し、それらの内容と構造を理解し準備ができました。次に進んで、実際にそのデータを**探索(Exploration)**して、分析を始めます。

探索を始める

  1. 探索を始める方法

    • まず、探索を始めるために、メニューから「探索の新規作成」を選びます。

    • 今回は「ラーメン屋満足度調査」のデータモジュールを使用します。

  2. 初期の探索カード

    • クリックすると、最初にデータに基づいた**「カード」**が表示されます。これらのカードは探索結果を可視化するもので、どの変数(例:満足度、年齢、性別など)を使うかを選択することができます。

    • システムはAIを使用して、自動的にいくつかの提案を表示してくれます。

  3. 「満足度」変数を使って探索

    • 今回は「満足度」を基に探索を始めます。満足度は重要な変数の1つで、分析の出発点として最適です。

    • 「満足度」を選択すると、満足度と他の変数との関係が自動的に図示されます。

満足度と関係する変数

  • システムが生成したグラフで、満足度と年齢ラーメン屋のステータス性別などの変数が関連していることがわかります。

  • 例えば、年齢は満足度と正の相関があり、満足度が高い人は年齢が高い傾向にあることが示されています。

不要な変数を取り除く

  • 生成された関係図で、**「満足度グループ」**という変数も表示されていますが、これはすでに満足度をカテゴリー分けしたもので、分析には不要です。

  • この変数は、右上の「編集」ボタンを使って削除できます。

新たな視点を追加

  • 満足度と他の変数を組み合わせて、新しい可視化を生成します。

  • 例えば、ラーメンの種類(二郎、家系)と満足度の関係を見てみます。システムが生成したグラフから、家系の方が満足度が高いことがわかります。

結果をデッキに追加

  • 満足度に関連するグラフや統計を、**「カードのデッキ」**に追加していきます。

  • これらのカードは、後で簡単に参照できるように保存されます。


まとめ

  • 探索の流れ:まず重要な変数(例:満足度)を選び、システムが提供する関連する変数やグラフを見て、さらにデータを深掘りしていきます。

  • 不要な変数は取り除き、興味深いパターンやインサイトを視覚的に把握します。

  • 最後に、関連するグラフや分析をデッキ(カードのセット)に追加し、後で簡単に参照できるようにします。


データ探索の進め方

ここまでで、いくつかの探索カードを作成し、データ関係の図がどのように機能するか理解しました。今回はさらに深掘りして、探索環境をよりよく理解していきましょう。

1. 満足度カードを追加

  • 最初に、満足度に関連するカードを探索デッキに追加します。

  • このカードをクリックすると、Cognosは自動的に**「ドライバー分析図(Driver Analysis)」**を作成します。

    • ドライバー分析図は、満足度に影響を与える要因を視覚的に示してくれます。

2. ドライバー分析図の解説

  • ドライバー分析図では、満足度に影響を与える要因が青い点(単一要因)オレンジの円(2つの要因の組み合わせ)、そして**緑の円(複数の要因の組み合わせ)**として表示されます。

    • 例えば、年齢は満足度を16%予測する要因として示されています。

    • 満足度グループなどの予測関係も表示され、これを取り除くこともできます。

3. 関連ビジュアライゼーションの表示

  • 「関連」アイコンをクリックすると、Cognosは満足度に関連する他のビジュアライゼーションを自動的に生成します。

    • これにより、どんな要素が満足度に影響を与えているのかをさらに掘り下げて理解できます。

4. 比較作成の機能

  • **「比較作成」**というオプションが表示されますが、これは後で使用します。

5. 探索環境の操作パネル

  • 画面上部には、カードの数新しいカードを作成するための「+」ボタン、取り消しやり直しのボタンなどが表示されます。

6. 満足度に影響を与える要因の理解

  • 青い点は単一の要因が満足度に与える影響を示します(例:年齢)。

  • オレンジの円は、2つの要因が一緒に満足度に影響を与える場合を示します(例:年齢 + 麺タイプ)。

  • 緑の円は、複数の要因が満足度に与える影響を示します。

7. 決定木(Decision Tree)図の表示

  • 満足度に最も強く影響を与える要因の組み合わせ(例えば、麺タイプや提供時間など)が表示される決定木(Tree)図を生成できます。

    • これを追加すると、どの顧客カテゴリが最も満足しているか、逆に満足度が低い顧客はどれかが可視化されます。

8. ツリー図とサンバースト図の切り替え

  • **ツリー図(Tree Diagram)**は、満足度に影響を与える要因を階層的に視覚化します。

    • さらに、これをサンバースト(Sunburst)図に切り替えて、他の視点から分析することもできます。

9. 提供時間と満足度

  • **遅延時間(5分以上の遅延)**が満足度に与える影響が示されています。遅延が長いほど、満足度が低いことがわかります。

    • 遅延を減らすことが、満足度を向上させる方法として示唆されています。

10. データのサンプルについて

  • 解析はサンプルデータに基づいて行われることがあります。これは、大きなデータセットを使う際に、計算速度を向上させるためです。

    • この点に注意し、実際のデータ全体に基づいて解析されるわけではないことを理解しておく必要があります。

11. ターゲット変数の変更

  • ターゲット変数(満足度など)は後で変更することができます。

    • 画面のアイコンをクリックすることで、ターゲット変数を切り替えるオプションがあります。

12. フィルターとプロパティ

  • フィルターを使うことで、特定のデータを絞り込むことができます。

  • 現在はプロパティタブについては特に利用することはありませんが、将来的に役立つ可能性があります。

13. データ関係図に戻る

  • 最後に、探索を進めた後、再度データ関係図に戻って、データの理解を深めていきます。


まとめ

  • ドライバー分析図を使用して、満足度に影響を与える要因を視覚的に確認できます。

  • 関連ビジュアライゼーション決定木を使用して、満足度に影響を与える要因をさらに掘り下げます。

  • 遅延時間などの要因が満足度に与える影響を見つけ、改善策(例:遅延を減らす)を提案できます。

  • ターゲット変数フィルターを使って、探索をさらに詳細に調整できます。


データのさらに深い探索と可視化の作成

引き続きデータを掘り下げ、可視化を作成し、インサイトを生成していきましょう。今回は探索環境にさらに慣れ親しんでいきます。

1. 満足度と麺タイプの関係の可視化

  • 以前作成した「満足度」と「麺タイプ」に関するグラフ(棒グラフ)を選択します。

  • 右側に、選択した変数に基づいて関連する可視化が生成されます。これらをカードに追加していきます。

2. インサイトの表示

  • 棒グラフの右側に表示されるインサイトは、簡単な英語で表示されます。これにより、知らなかった新しい情報を得ることができます。

    • 例えば、「麺タイプ全体の満足度平均は3.3」などのデータが表示されます。

3. フィールドタブでのカスタマイズ

  • フィールドタブを使うことで、グラフに使用されている変数を確認できます。例えば、棒グラフの長さが「満足度」であり、横軸が「麺タイプ」であることがわかります。

  • さらに、別の変数(例えば「価格感度」)をドラッグ&ドロップで追加することができます。

4. 新たな可視化の生成

  • 価格感度を追加すると、価格感度麺タイプごとの満足度の関係が示された美しいグラフが生成されます。

    • 例えば、社会人学生の違いが視覚的に確認できます。

5. フィルターの追加

  • 性別」でフィルタリングしてみましょう。

    • 性別ごとにデータを分けて表示することができます。例えば、「女性」のデータを表示すると、グラフの数字が変化します。

6. 男性と女性の比較

  • 2つのグラフを並べて、男性女性を視覚的に比較できるようにするため、「比較作成」をクリックします。

    • 新しいグラフを作成または既存のグラフを複製して比較を作成できます。

    • ここで、性別フィルターを基に、自動で女性と男性の比較を作成できます。

7. 比較結果の視覚化

  • 2つのグラフが並び、女性男性の満足度および価格感度の違いを並べて比較できます。

    • 例えば、男性の満足度が3.5、女性の満足度が3.2の場合、女性の方が若干低い満足度を示していることがわかります。

8. 2つのグラフの同期

  • 並べた2つのグラフは「同期」されています。つまり、一方で何かを選択すると、もう一方にもその選択が反映されます。

    • これにより、同じグラフを見ながら、複数の観点からデータを比較することができます。

9. 探索の保存

  • これまで作成した探索の進捗を保存しましょう。

    • 最初の探索 - 航空満足度」という名前で保存します。

    • どこに保存するかを選び、今回は新しいフォルダを作成せず、シンプルに保存しました。


まとめ

  • 満足度と麺タイプを基にした可視化を作成し、価格感度を追加してさらに深い分析を行いました。

  • フィルターを使って性別でデータを分け、男性と女性の違いを視覚的に比較しました。

  • 比較結果を並べて表示することで、男性と女性での満足度の違いを簡単に確認できました。

  • 最後に、進捗を保存して次回の作業に備えました。


探索の継続とデータの掘り下げ

今回は、探索環境でさらに深くデータを分析し、得られるインサイトを探りながら、可視化を作成していきます。

1. 満足度から別の変数に焦点を変更

  • これまで「満足度」を中心に分析してきましたが、他にも重要な変数を探りたいと思います。

  • 例えば、トッピングの購買額がどのような要因で影響を受けるのかを調べたいと考え、性別が購買額に影響を与えていることを発見しました。

  • 女性がより多く買い物をしていることがわかります。

2. 購買額に影響を与える要因を分析

  • 女性は22ドル、男性は11ドルの購買をしているという結果が出ました。

  • さらに価格感度(どれくらい価格に敏感か)を調べたところ、女性の方がわずかに価格に敏感であることが確認されました。しかし、この差は統計的には小さく、重要な差ではないため、分析から外しました。

3. ラーメン屋ステータス別の購買額

  • 次に、ラーメン屋ステータス(Blue, Gold, Platinum, Silver)ごとの購買額を調べました。

  • ゴールド会員が最も多く、ブルー会員が最も少ないという結果が出ました。

  • ゴールド会員は高い支出を示しており、ブルー会員は最も経済的で支出が少ないという意味がありました。

4. 重要なインサイトをピン留めする

  • 気に入った可視化やインサイトは、ピン機能を使って保存することができます。

    • これにより、後で別の作業をしているときでも、ピン留めしたインサイトに素早くアクセスできます。

    • 例えば、ラーメン屋ステータス別の購買額の可視化をピン留めして、他の作業をしている時でも簡単にアクセスできるようにしました。

5. 探索結果の保存

  • 現在の探索を保存しました。「ラーメン屋満足度」という名前で保存しておきました。

  • これにより、データ分析が途中で中断されても、再度同じデータとインサイトを復元できます。

6. 探索の進捗と次回への準備

  • ここまでで、満足度購買額に関連する分析を行い、さまざまな可視化とインサイトを作成しました。

  • Cognosのスマートアシスタント機能を使って、さらにデータ分析を進める方法を学びます。


まとめ

  • 満足度の分析から、購買額に焦点を移し、性別ラーメン屋ステータスがどのように影響を与えているかを調べました。

  • 価格感度ラーメン屋ステータスごとの購買額の違いを比較し、重要なインサイトを得ました。

  • ピン留め機能を使って、後で簡単にアクセスできるようにしました。

  • 最後に、進捗を保存して、次のステップに備えました。


探索環境の続き

今までの探索では、満足度購買額などの可視化を作成してきました。これらの分析は短時間で簡単に行えたことと思います。今回は、さらに進んだ探索方法について紹介します。

1. 手動での可視化作成

  • これまでは自動探索ツールを使って分析していましたが、手動で可視化を作成することもできます。

  • 」をクリックして、新しい可視化を作成できます。これには、単一の可視化(グラフなど)や、複数を比較する可視化を作成するオプションがあります。

  • しかし、今回はダッシュボード作成のセクションで、これらを使う方法を紹介する予定です。

2. スマートアシスタントを使った可視化の作成

  • さらに便利なのが、スマートアシスタントです。この機能では、AIがあなたの質問を理解し、グラフを自動で作成してくれます。

  • 例えば、**「満足度 by 年齢と性別」**のように質問すると、それに関連するグラフを自動で生成してくれます。

  • 質問を入力する際に、AIが検索エンジンのようにサジェストしてくれるので、とても便利です。

3. 自動で生成されたグラフのカスタマイズ

  • スマートアシスタントが作成したグラフをカスタマイズできます。例えば、満足度購買を比較するグラフを作り、男性と女性の購買額の平均を表示しました。

  • グラフの軸や値を変更したり、平均を計算して表示することができます。これにより、女性が最も多く買い物をしているが、満足度は低いという結果が見えました。

4. インサイトを得るための質問と可視化の調整

  • このように、データを掘り下げていくことで、意外なインサイトが得られることがあります。例えば、女性が最も多く買い物をしているにも関わらず、満足度が低いという結果に驚きました。

  • これを元に、更に分析を進め、女性の顧客に対してラーメン屋のサービスを改善する提案ができるかもしれません。

5. ピン機能を使って重要な可視化を保存

  • 作成した可視化やインサイトが気に入ったら、ピン留めしておくことができます。ピン留めすると、ダッシュボードで簡単にアクセスできるようになります。

  • 例えば、性別ごとの購買額のグラフをピン留めし、後で再利用できるようにしました。

6. 作業の保存

  • 最後に、今までの作業を保存します。保存を忘れずに行いましょう。これで、もし途中で作業が中断されても、再開することができます。

7. 探索環境のまとめ

  • 探索環境では、データを深く掘り下げ、様々な可視化を作成することができます。

  • 可視化は手動で作成することもできますが、スマートアシスタントを使って簡単に作成することも可能です。

  • 作成した可視化は、グラフのプロパティを調整することでさらに詳しく分析できます。

8. 次のステップ

  • 今回の探索環境で学んだことは、次回のダッシュボード環境でも役立ちます。ダッシュボード環境でも似たような方法で可視化を作成・管理することができます。


まとめ

  • スマートアシスタントを活用して、質問を入力するだけで簡単に可視化を作成できる。

  • 作成したグラフをカスタマイズして、より詳細なインサイトを得ることができる。

  • ピン留め機能を使って、気に入ったグラフを保存し、後で素早くアクセスできるようにする。

  • 最後に、作成した探索結果を保存して、再開できるようにする。


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