Maven アーキタイプ

 


🏗️ Mavenアーキタイプ

新しいJavaプロジェクトを始めるとき、「ディレクトリ構造はどうしよう?」「pom.xmlはどう書けばいい?」と悩んだことはありませんか?そんな時に役立つのが、Mavenの強力な機能「アーキタイプ(Archetype)」です。

アーキタイプは、プロジェクトのひな形を自動で生成してくれるテンプレートのようなものです。これを使えば、面倒な初期設定をスキップして、すぐに開発を始められます。今回は、このアーキタイプをコマンドラインで使う方法を詳しく見ていきましょう。

💡 アーキタイプとは?

「アーキタイプ」は、Mavenの公式プラグインの一つです。コマンド一つで、Mavenの標準的なディレクトリ構造(src/main/java, src/test/javaなど)や、基本的なpom.xml、さらにはサンプルのJavaコードまで、すべてをまとめて生成してくれます。

🚀 ステップ1: コマンドラインでひな形を生成する

まずは、最も基本的なコマンドから始めます。

  1. ターミナルを開く 新しいプロジェクトを作成したいディレクトリに移動します。

  2. archetype:generateコマンドを実行

    mvn archetype:generate
    

    このコマンドを実行すると、Mavenは利用可能なすべてのアーキタイプのリストを表示します。

  3. アーキタイプを選択する 表示されたリストから、使いたいアーキタイプの番号を入力します。

    • 今回は、最も一般的な「maven-archetype-quickstart」を選択するのがおすすめです。

    • デフォルトの選択肢(通常は番号44)がこれに該当することが多いので、そのままEnterキーを押すだけでもOKです。

  4. プロパティを設定する 次に、Mavenはプロジェクトの基本情報を尋ねてきます。

    • groupId: clinic.programming.training

    • artifactId: quickstart-example

    • version: 1.0-SNAPSHOT (デフォルトでOK)

    • package: clinic.programming.training (デフォルトでOK)

    これらの値は、後でpom.xmlで変更することも可能です。

  5. 確認と完了 最後に、設定内容を確認するメッセージが表示されるので、yと入力してEnterを押すと、プロジェクトが生成されます。

✨ ステップ2: 生成されたプロジェクトを調べる

quickstart-exampleという新しいディレクトリが作成されているはずです。中身を見てみましょう。

  • pom.xml:

    • 先ほど設定したgroupId, artifactId, versionが自動で記述されています。

    • JUnitの依存関係も最初から追加されています。ただし、バージョンが古い場合があるので、最新版に更新することをおすすめします。

  • ディレクトリ構造:

    • src/main/javasrc/test/java の両方が作成されています。

    • その中には、設定したパッケージ名(例: clinic/programming/training)のフォルダ構造ができています。

  • サンプルコード:

    • src/main/javaには、「Hello World」と出力するシンプルなクラスが。

    • src/test/javaには、そのクラスをテストするためのJUnitのサンプルコードが、最初から用意されています。

⚙️ ステップ3: 便利なショートカットとビルド

archetype:generateコマンドは、たくさんの対話形式の質問をされますが、パラメータを渡すことで、これをスキップすることもできます。

ショートカットコマンド

mvn archetype:generate -DgroupId=clinic.programming.training -DartifactId=jumpstart-example -DarchetypeArtifactId=maven-archetype-quickstart -DinteractiveMode=false
  • -Dオプションを使って、プロパティを直接指定できます。

  • -DinteractiveMode=false をつけると、対話形式の質問をすべてスキップし、自動でプロジェクトを生成します。

ビルドの実行 プロジェクトが生成されたら、以下のコマンドでビルドを実行してみましょう。

mvn clean install

このコマンドは、コンパイル、テスト、パッケージング、ローカルリポジトリへのインストールをすべて自動で行います。

🧹 後片付け

作成したプロジェクトが不要になったら、rm -rfコマンドで簡単に削除できます。

rm -rf quickstart-example

アーキタイプは、プロジェクトの開始を加速してくれる便利なツールです。



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